XACQ-25002 (QUALITY!RECORDS) ¥2,625
2004.11.17 RELEASE
沖野兄弟の海外人脈が結集したエクスクルーシヴ・コンピレーション。
なんと 参加アーティスト全員が書き下ろしで新曲を提供。KJMの世界的なネットワークが超豪華な顔合わせを実現した。彼らのインターナショナルなポジションがこの一枚によって再認識される筈。KJM最新楽曲も同時収録!!
 


[沖野修也による未発表楽曲解説]
 
1. TIME TO FLY / restless soul feat. RASIYAH
   以前、restless soulのPHIL ASHERについての記事を僕が一時期発行していたフリー・ペーパーに記した事がある。僕が知るPHILのありのままについての記述だ。毎日、必ずスタジオに出勤(!?)し、音作りに励むPHIL。来日した時も、ギャラの事なんかお構い無しで友達の為に深夜までトラックを作り続けたPHIL。THE ROOMに来て、朝まで行われたジャム・セッションに参加した若いミュージシャン達に助言を与えてくれたPHIL。まさに、restless soul=不休魂の名に相応しいそのヴァイタリティーは、尊敬に値するし、見習わなければならないという内容だった。今回も誰よりも早く音を仕上げてくれたのはPHILだった。でも単に勤勉な奴ではない。胡散臭い奴が大嫌いで、理不尽な事には毅然とした態度で挑む頼りがいのある男。でも繰り出す音は、実にソウルフルで暖かい。人間味溢れるPHILならではのテイストなんだと思う。
2. NO FEAR / FACE
   僕は、FACE とは直接面識はないのだが、KJMの共同プロデューサー/キーボーディストでもある吉澤はじめはライブで共演経験があるし、そのイベントで好洋はDJをしている。4HEROのDEGOによるこの曲を『FOR KJM』に収録出来るとは夢にも思っていなかった。FACEと言えば、名曲「STAR CHASERS」のヴォーカリストだし、僕が大好きな森俊彦さんの曲「MY FIRST PLANET」にもゲスト参加している。弟の熱心なアプローチによってFACEの参加は実現したのだが、DKDのライブ(ヴォーカルがFACEで、ベースがDEGO、キーボードはKAIDI TATHAMと吉澤はじめ、ドラムはSLEEP WALKERの藤井伸昭)のリハの為にTHE ROOMを提供してあげたら、DEGOがわざわざお礼の手紙を残してくれた。礼を言わなきゃいけないのはこっちの方なのに。彼の繊細な感性は、実はファンキーなトラックの随所に散りばめられている。だから、いつもDEGOの曲は、ダンサブルなのに聴いても心地良いのだ。
3. ENDLESS FLIGHT / KYOTO JAZZ MASSIVE
   僕達のフェイバリットでもあるRODNEY FRANKLINの「ENDLESS FLIGHT」をカバーする事は、随分前から暖めていたアイデアだし、逆にカバーだからこの機会に発表しておくべきだという事にも落ち着いた。それに、2004年はKJM的に原点回帰の年でもあった。何故か70年代のフュージョン/ジャズ・ファンクをリメイクしたり、リミックスする機会に恵まれた。BLUE NOTEの60周年アルバム『BLUE NOTE REVISITED』では、EDDY HENDERSONの「KUDU」を。日本企画の『SOUL SOURSE REMIXED BOOGIE』では、PLEASUREの「STRAIGHT AHEAD」をKJM流にアレンジしていたから、この「ENDLESS FLIGHT」はルーツを見つめ直したKJM70代REWORK3部作の最終編でもある。この曲を僕達の10年の節目として、新たな楽曲制作を始める上でのステップにしたいと思っている。
4. RONCO DA CUICA / DA LATA
   DA LATAのPATRICK FORGEとCHRIS FRANCKはKJMファミリーと繋がりの深いアーティスト達だ。PATRICKは、SLEEP WALKERの名曲「愛の河」のヴォーカル・ヴァージョンの作詞者。KJMの日本でのデビュー・アルバム『KYOTO JAZZ MASSIVE』がこの度アナログ盤で再発されたのだが、ライナー・ノーツも執筆してくれている。そして、CHRISは、吉澤はじめの大ヒット曲「I AM WITH YOU」やKYOTO JAZZ MASSIVEの「SHINE」に参加してくれている。又、吉澤はじめが彼等の楽曲でキーボードを演奏した事もあるし、中村雅人もDA LATAのライブに飛び入り済みだ。共にTHE ROOMでもDJやライヴをやってくれているから、僕達の音楽を支持してくれている人にとってもそれぞれ馴染みが深い筈。勿論、今回もこうして新曲を提供してくれている。
5. THE APHRODITE / LOUIE VEGA & THE EOL BAND
   PATRICKがTHE ROOMで回した時の事だ。来日中のLOUIEが僕を訪ねて店に顔を出してくれた。そして、一晩で50杯近くを自腹でお客さんに振るまい、汗だくになって踊りまくっていた。なんと、照明係を自ら買って出てもくれた。更に、その夜の事を「2002年のベスト・パーティー」とまで言ってくれた。実はこの時、2人で盛り上がったのが、「ルームでLATINとJAZZだけのイベントをやろう」という事だった。100人限定のシークレット・パーティー。KJMもLOUIEも生音オンリーで。未だ実現していない夢の企画だが、多分その夜、彼はこの曲をかける事だろう。ちなみに、10年前にリリースされたKJMの日本でのデビュー・アルバム『KYOTO JAZZ MASSIVE』にLOUIEはMAW名義でREMIXERとして参加してくれている。
6. NOW OR NEVER / AFRONAUGHT feat. ALISON DAVID
   AFRONAUGHTことORIN WALTERSは人柄も、作る音も、DJプレイも一貫して、ポジティヴで解放的。ブロークン・ビーツをダークで複雑な音楽であるという偏見を持っている人には、是非ORINの世界に触れてもらいたい。自分のプランやヴィジョンについて常に熱く語る。又、変則的なリズムでもその疾走感を全く失わないアップ・リフティングなトラックを発表する。DJプレイに至っては、ハウスDJ顔負けの高揚感と劇的な展開でダンス・フロアーを熱狂させるORIN。BUGZ IN THE ATTICの一員としても、今やウエスト・ロンドンを代表するプロデューサーの1人として認識されている彼は、常に俊敏な行動で僕達を刺激してくれる。僕の事務所では、あっという間にトラックを仕上げ、自分の音データを瞬時に僕のパソコンにコピーした。ORINは、この曲だって出来たその日にメールで送ってきたのだ。
7. TAKING FLIGHT / DOMU
   ドイツのソナー・コレクティヴから発売されたUMODのリリース・タイミングで、DOMUはジャパン・ツアーを行った。終了後のオフを彼は僕の自宅で過ごしたのだが、その時彼に既に貰っていたデモの中から「TAKING FLIGHT」を『FOR KJM』に提供してくれないかと尋ねてみた。数多くの名義を使い分け、シングル、リミックス、アルバムと驚くような制作数を誇るDOMUなのだが、まだまだ世に出ていない曲がある。僕達のオファーを快く受け入れてくれたDOMUは、帰国するとダメもとでお願いしていたヴォーカルをダビングしたファイナル・ヴァージョンを送ってくれた。滞在中、丁度誕生日だった彼に、弟がSTAR WARSのフィギュアをプレゼントした時に見せた笑顔は、天才と呼ばれるDOMUがめったに見せない少年のような笑顔だった。
8. FIRST FRIENDSHIP / LARS BARTKUHN
   ある日、突然弟宛に一通のメールが届いた。LARS BARTKUHNからの。最初はエスペシャル・レコードから何かリリース出来ないかという相談だったらしいのだが、弟がLARSに『FOR KJM』への参加を提案してくれた。この『FOR KJM』には、沖野兄弟のどちらかが会った事のある人に参加もらいたかったのだが、LARSとは二人とも対面した事がなかった。夏にヨーロッパ・ツアーを終えたばかりの僕も、フランクフルトに足を伸ばせば良かったと後悔していた。ところが、ある日渋谷FMに出演していたTHE ROOMの佐藤強志から、スタジオでLARSに会ったという電話をもらった。勿論、すぐに駆け付けた。でも、握手をしてお礼を言っただけだった。番組の収録中だったからだ。僕達の友情は、こうして始まった。
9. LISTEN 4 IT / MARKUS ENOCHSON feat. INGELA OLSSON
   この夏のヨーロッパ・ツアーの最終日、僕はストックホルムにいた。ロック・コンサートばりに盛り上がったパーティーは大成功。僕のDJ人生におけるベスト・ギグにノミネートできる(笑)一夜となった。そして翌日、MARKUSに会った。岸辺のカフェで早めのディナーを食べた。美しい彼の奥方と共に。ストックホルムの若者は、クールだとよく言われるが、決してそんな事はない。MARKUSとはその日が初対面だったけれど、仲の良い友達に久々に逢うような感じがした。とにかくフレンドリーなのだ。ちなみにMARKUSは、僕にヨーロッパへの移住を勧めてくれた。スペインに世界中に直行便が飛んでいる島があるという。島の名前がどうしても思い出せない。MARKUSに聞かないと・・・。
10. COME WITH ME / DEGO & KAIDI TATHAM
   DEGOを尊敬する理由は、自分の周囲にいる優れたアーティストを世に送り出す事に彼が積極的だからだ。DJプロデューサーはともすると、ミュージシャンの才能を利用して、彼等に名誉を与えたがらない。でもDEGOは違う。KAIDI TATHAMはソロもリリースしているが、DEGOが力を入れてPUSHする有能なキーボーディストだ。ヴォーカリストのCAROL CROSBYしかり。CAROLはなんとKJMの新曲「ENDLESS FLIGHT」でも歌ってくれている。KAIDIもCAROLもTHE ROOMに遊びに来てくれたことがあるし、共にKJMとは以前から面識があるからDEGOの彼等の『FOR KJM』への抜擢は願ったり叶ったりだ。ちなみにPATRICK FORGEによると、KAIDIは「ENDLESS FLIGHT」のオリジナルの熱狂的なファンだそうだ。
11. TOMORROW NEVER COMES / REEL PEOPLE feat. VANESSA FREEMAN
   REEL PEOPLEの日本盤の解説を弟が担当したり、ジャパン・ツアーのオーガナイズを手掛けたり、やはり彼等がTHE ROOMでセッションをやったりとKJMとは切っても切れない関係のREEL PEOPLE。当初、既存の未発表曲での『FOR KJM』参加の予定が、コンセプトを理解した上で、「ならばヴォーカリストも友達の方がいいに決まっている」と新曲を書き下ろしてくれた。起用されたのは、KYOTO JAZZ MASSIVEの『SPIRIT OF THE SUN』でも素晴らしい歌声を披露してくれたVANESSA FREEMAN。同時期に次のシングルとなる曲も完成していたから、本当に彼等の才能には驚かされてしまう。広い心を持ち、常に前向きで音楽を心から愛するOLIとMIKEの姿に僕はいつも励まされている。この曲は、そういうマインドを持つ人によってしか産み出されない作品だと思う。


■■■ "FOR KJM" the participating artists ■■■
 
restless soul feat. Rasiyah
   人気コンピレーション『Jazz In The House』のコンパイラーであり、UKを代表するハウス・クラブMinistry of Soundのパーティ「Soul Heaven」のレジデントを務めるHouse DJ/ プロデューサーPhil Asher率いるrestless soul。今迄にTerry Walker, Blaze, 4hero等、数多く手掛けたリミックス・ワークでの活躍は勿論、Nathan HainesやVanessa Freemanのプロデュースも手掛けた。今回はDKDのアルバムや、Vanessa Freemanのアルバムに参加しているヴォーカリストRasiyahを起用。
Kyoto Jazz Massive
   沖野修也+好洋からなる日本を代表するジャズ/クロスオーバーユニットKyoto Jazz Massive。海外でもヒットを記録した「Eclipse」や「Substream」のシングル・カット、そして数多くのリミックス・ワークを経て、2002年には全世界で発売されたファースト・アルバム『Spirit Of The Sun』をドイツのCompost Recordsからリリース。フュージョン・サウンドを基盤とするそのオリジナリティーにあふれる音楽センスにて、Jazzanova等と並びニュー・ジャズ・シーンの中核として高い評価を得ている。
Face
   4heroのメイン・ヴォーカリストとして名曲「Star Chaser」等を始めとした数多くの作品での活躍は勿論、2000blackからリリースされたDomuやDegoの変名Natsumeg, Dego & Kaidi Tatham等にもフィーチャーされた事でも知られるウエスト・ロンドンのソウル・ディーヴァFace。2004年春にはDegoとKaidi Tatham, Bugz in the AtticのDaz-I-Kueの3人が手掛けるユニットDKDのライブ公演の為来日し、そのソウルフルな歌声を観客に披露した。今回の作品も勿論プロデュースはDegoが手掛けている。
Da Lata
   Gilles Petersonと並び、ジャズ・シーンを長きに渡ってリードしてきたシーンの最重要DJ Patrick Forgeと、ギタリスト/マルチプレイヤーChris Franckを中心として活動するUKのブラジリアン・ユニットDa Lata。2000年に発表されたファースト・アルバム『Songs From The Tin』では「Pra Manha」や「Rio Vida」の大ヒット作品を生み出した。そして、2003年にはセカンド・アルバム『Serious』をリリース。前作から引き継がれるブラジリアン・サウンドを主軸としつつも,アフロやソウルのテイストを取り入れより力強く幅広い作風で新境地を切り開いた。
Louie Vega (Masters At Work / Elements Of Life)
   Kenny DopeとのプロジェクトMasters At Work, Nu Yorican Soulでお馴染み、ハウス界のトップDJ/プロデューサーLouie Vega。一昨年にはソロ名義でもあるプロジェクトElements Of Lifeでアルバムをリリース。現在もソロ名義でのシングル・カットや、EOL,MAW名義でも数多くのリミックス作品を手掛けている。又、『Soul Heaven』や『MAW In The House』、『Latin Sounds』等の良質なコンピレーションもリリースし、ハウス・シーンはもちろんクロスオーバー・シーン等からも高い支持を受け続けている。
Afronaught
   ウエスト・ロンドンの最重要プロデューサー集団Bugz in the Atticの中心人物であり、Bugz in the Attic, Neon Phusion等の名義でも数多くの作品をヒットさせて来たOrin WaltersのソロプロジェクトAfronaught。ファースト・アルバムからのシングル・カット「Transcend Me」の大ヒット後もUS3やKyoto Jazz Massive等のリミックスも手掛ける。昨年には今回の作品でもフィーチャーされているヴォーカリストAlison Davidを起用した「Dreams Come True」が世界的に大ヒットを記録。ハウス・シーンからも注目を集めるウエスト・ロンドン / ブロークン・ビーツ・シーンの中核。
Domu
   Domu, Rima, Bakura, Yotoko, Zolter, UMOD等数多くの名義を使い分け数多くの作品やリミックス・ワークを手掛けて来たウエスト・ロンドン・シーンの中心人物Domu。彼の手掛ける繊細なプログラミングで構築されるブロークン・ビーツ・スタイルが高い評価を得ていると共に、RimaやBakura名義で見せたオーガニックでメロディアスなスタイル、Gilles PetersonのWorld Wideにも収録されたUMOD名義でのミニマル・ブレイク・ビーツでのスタイル、YotokoやZolter名義でのディープ・ハウス/テクノ・フレイヴァーなスタイル等、幅広いセンスを持ち、世界中のDJから支持され、数多くのレーベルから楽曲をリリースしている。
Markus Enochson
   ストックホルム/スウェーデンを拠点とし活動するプロデューサーMarkus Enochson。Masters At Workに見初められ、MAW Recordsからシングルをリリース。その後もJazzanovaが主宰するSonar KollektivやFlamingo, UKのVinyl Junkies, 日本のEspecial Records等世界中のレーベルを又にかけ次々とシングルをリリース。ハウス・シーンとクロスオーバーシーンを又にかけ、その美しいメロディーとハイレベルな楽曲製作で注目を集める新鋭クリエーター。
Lars Bartkuhn
   Francois KやDanny Krivitからも多大なるリスぺクト受けるハウス/クロスオーバー・ユニットNEEDSのメンバーであり、ソロ名義Passion Dance Orchestraのアルバムも高い評価を受けたフランクフルト/ジャーマニーのプロデューサー/ギタリストLars Bartkuhn。幼いころからブラジリアン・ミュージックや、フュージョンに大きな影響を受け、そのセンスが大きく反映された彼のプロダクションは現在進行形の良質なフュージョン・サウンドとして評価を受けている。又、ソロ名義でも「Sun Orchestra」等のリミックスを手掛けてシーンで素晴らしいセールスを記録した。
Dego & Kaidi Tatham
   「Two Pages」,「Creating Patterns」等のヒットでも知られるシーンを代表するユニット4heroとしても活躍するブロークン・ビーツ・シーン中心人物Degoと、ソロ名義Agent Kとしても活動するウエスト・ロンドンのマルチ・キーボーディストKaidi Tathamがタッグを組んだプロジェクトDego & Kaidi Tatham。既にDego主宰の2000BlackからFaceとVanessa Freemanをフィーチャーしたシングルでも注目を集める。今回は、4heroのアルバムにも参加しているヴォーカリストCarol Crosbyを起用。
Reel People
   UKのディープ・ハウス・レーベルPapa RecordsのオーナーであるOli Lazarusと、restless soul所属のキーボーディストMike Pattoが手掛けるプロジェクトReel People。昨年、ファースト・アルバム『Second Guess』のリリースでハウス、クロスオーバー両シーンから高い評価を受け、一躍シーンのトップに躍り出た。先日にはHerbie Hancockがプロデュースを手掛ける日本最大級のジャズ・フェスティバル「東京ジャズ」にもフル・ライブ・バンドでの出演を果たした。今回はReel Peopleのメイン・ヴォーカリストであり、Kyoto Jazz Massiveのアルバムにも参加をしたVanessa Freemanを起用。
 
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